ミスフルーツパーラー(2024/01/13)

f:id:chee_taland:20240114120748j:image

2024/01/13
ミスフルーツパーラー』
人生で初めての村上春樹の本を抱えて、人生で二度目のフルーツパーラー。
なにかの用事で大江を訪ねた数年前。歩き通しで痛む脚を休めたくて、どこか入れるお店がないかと探して見つけたのがこのお店。
入ってみたら名前の通り光り輝くフルーツを使ったスイーツがケースに並んでいて、目移りする。
中に通されて渡されたメニューで、イチゴのパフェを選んだ記憶がある。当時の写真はたぶんデータのどこかを探せばあるけれど、それはおそらく昔使っていたパソコンの中。
また行きたいなぁとぼんやり思いながら昨年末、熊本の美味しいお店を調べながらぼーっとしていたところに見覚えのある店名を見つけ、インスタのアカウントをフォローしたところ閉店のお知らせに目を丸くする。
リニューアルのためとはいえ、このまま行かずじまいというのは胸に煙がくゆるだろうと年明けに足を向けることを決意。
期せずして二度目もイチゴの季節。
注文はQRコードで自分のスマホから。初めての時は、キャッシャーというか、なんと言うか。会計の方法が見たことのないものだったので驚いたものだが、注文もこんなに進化してるとはとまたしても驚く。
今回もイチゴのパフェを頼もうかと悩むが、思い出の形状とは異なる模様。たぶん、記憶があっていれば。
悩んだ結果、イチゴのタルトセット(税込950円)に決める。
少し手こずりながらも注文に成功してホッとしながら、カバンから村上春樹の『一人称単数』を取り出す。短編集だ。長居する予定はないので、一章読めれば良いくらいの時間になるだろう。
正直なところ、しっかりとした読書は中学時代以来。書店アルバイトをしていたうえ、本屋が好きなので積み上がる未読本。今年は本を読もうと目標を立てるも挫折するを繰り返す私。そしてまた、一冊の本を買った。それがこの『一人称単数』。手に取ったことがない、村上春樹
昨年30歳になったので、良い加減にどうにかしたい、どうにかするには良い区切りと奮起して、積み上がった本の一番上のソレを持ち出したのだ。
(ちなみにこの本を買ったのは、今年に入ってからである)
タルトが到着するまでのしばしの間、表紙を開く。
“男”が記憶の中の朧げに鮮やかな“女”のことを語ろうとする話が始まる。
半ばより少し手前でタルトとドリンクが到着。

f:id:chee_taland:20240114120812j:image
まず最初にサイズに驚いた。本日二度目の驚き。小さくてかわいい。句読点の前に()がつく感想。でもよくよく考えたら、ドリンク付きでこの値段なら、全然アリか…と溜飲を無理やり落とす。問題は、味である。
フルーツのお店に来ておいてなんだが、私、フルーツを食べると喉が痒くなったり、舌が痺れたり、気分が悪くなったりして、普段滅多に食べない。瓜系が特にそう。スイカもメロンも食べられない。シャインマスカットも、キウイも、バナナも、ミカンも、もちろんイチゴも得意ではない。
あとちなみに酸っぱいものがとってもとっても苦手だ。顔が全部真ん中に寄るし、目が開けられなくなる。表現するなら( ∵ )という顔。ピュレグミですらこうなる。
しかし昨年、家の冷蔵庫で熟れに熟れたキウイを見つけたので食べてみたら、ちょっと喉がもやっとした程度でパクパクいけた。祖母が買ってくれたシャインマスカットも同じくパクパクはいけた。
…これは、いけるのでは?!というワクワク感もあってこのお店に来たのだ。


残念ながらエスプレッソマシンが故障中と言うことで、イングリッシュブレックファストという紅茶を注文。砂時計と共に出され、砂が落ち切るのを待って、カップに注いでからまずひと口飲んで、フォークを手に取る。
タルトの外側に飾られたイチゴを刺して、大胆にひと口。


あ、甘い!


ケーキに乗るイチゴに酸っぱさを求めていないタイプの人間なのだが、このイチゴは甘くて、酸っぱさに目が萎むことはなかった。
美味しい!嬉しい!
ちょっとばかし喉が痒いかも?と思ったけど、2つ目3つ目食べる頃には落ち着いた。
クリームも美味しいし、緑の粒々(ピスタチオ?)も美味しい。
甘いイチゴ。練乳いらずの甘さ。とても良いです。嬉しい。
紅茶をストレートで飲みながら、タルトを食べ進める。
サイズに驚いてしまったが、味に大満足。食べた後の感想はドリンク付きでこの値段はお得〜!というものだった。確かな満足感を得た。
紅茶を飲み終わるまで一人称単数を読み進め、ちょうど一章読み終えたところで完飲。紅茶も飲みやすくて、美味しかった。
“男”が思い出す“女”が書いた短歌は、胸をざわめかせる夜の海のような感覚を抱いた。短いけれど、ストーリーが映像のように浮かぶのは、この話がそうなのか、それとも村上春樹の作風がそうなのか。
なにはともあれ、目指せ月一積読読破。目標は低く。継続が目標の根っこ。


ミスフルーツパーラー、もっと他の季節も行っていれば良かったなと、寂しさのような後悔を抱えて店を出る。片手にはショーケースの中にあったプリン(550円)ふたつ入った袋を下げて。

f:id:chee_taland:20240114120841j:image
f:id:chee_taland:20240114120838j:image


そういうわけで、今年最初の月一ご褒美DAYは終了。


母にあげたプリンから、味見と称して3口。プリンもなめらかでとろりとした重みがあって、大変美味しかった。
リニューアルがどうなるのかは分からないけれど、インスタフォローしたまま楽しみに待つことにしようと思う。

f:id:chee_taland:20240114120858j:image
f:id:chee_taland:20240114120855j:image